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自ら盲ろう者の社会参加の先頭に立つ 門川紳一郎さん


目が見えず耳も聞こえない盲ろう者の社会参加を進めようと、自ら先頭に立つ。国連障害者権利条約の委員会に出席するなど、20回以上海外に赴いてきた。内外での活動が評価されて今月、厚生労働大臣表彰を受けた。

生まれつき弱視で4歳で失聴。今は光を感じる程度の全盲ろうだ。盲学校高等部3年の時、日本初の盲ろう大学生だった現東大教授福島智さん(53)と出会い、福島さんが広めた「指点字」を知った。左右の手の指を点字タイプライターのキーに見立て、点字を打って言葉を交わす。「会話というものの面白さを初めて知った」

福島さんに続いて大学へ。さらに米国に留学して、社会復帰訓練などを学んだ。「米での刺激があまりに大きくて」就職活動はせず、盲ろう者のことは盲ろう者がやらねばと1999年、「視聴覚二重障害者福祉センター すまいる」(大阪市)を立ち上げた。

盲ろう者は全国に約1万4千人いるが、外出して活動できない人が多い。施設ではコミュニケーション方法や通訳・介助の講習などを行う。理事長として就労をめざす約20人の盲ろう者を引っ張る。

今、盲導犬の使用を考えている。30代から視野が狭まって歩きづらくなり挑戦を決意した。現在、国内で全盲ろうの使用者はいない。「盲ろう者の励みになり、社会参加も広がれば」と意欲を見せる。