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ミライツクリビト


未来を見据え、どんな困難も楽しみながら乗り越える。そんな人生の達人を、私たちは『ミライツクリビト』と名づけました。


NPO法人視聴覚二重障害者福祉センターすまいる理事長 門川紳一郎さん

行動すれば、なにかが起きる。
“Serendipity”(セレンディピティ―)な社会を


盲ろう者の社会進出を後押しする活動に注力

「ちょっとここで切りましょうか、一方的に喋ってしまいました」。ひとつの質問に対して、 何度も言葉を変え、丁寧に答えを返してくれる。きっと、これまでの人生で、コミュニケーションの行き違いによる誤解を何度も経験してきたのだろう。一方で、盲ろう者としての困難を感じさせないほど、その口ぶりは穏やかで、ときにユーモラス。なんとも人間的な魅力を感じさせてくれるこの人物が、今回のミライツクリビト、門川紳一郎さんだ。 インタビューで門川さんが強調していたのが「盲ろう者自身が、支援を待つのではなく、もっと積極的に社会と関わらないといけない」という言葉。「僕が白杖をついて歩いているでしょ?親切な人が声をかけてくれるんです。けど、僕は気づかない。肩を叩くなりしてくれればいいんだけど、相手もまさか白杖をついている人が耳まで聞こえないとは思いもよらないんでしょうね。二重障がいについての認知度が足りないんです」。だからこそ、『すまいる』では、就労支援だけでなく、情報提供や支援者を交えたレクリエーションなど、社会との接点を増やすことに注力しているのだという。




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アメリカで出会った言葉を胸に、前へ進む


門川さんの行動力の源泉は、かつて留学したアメリカにあった。「アメリカでは、重度の障がいがあっても、やる気と能力があればやりたい仕事に就けるんです」。日本でもそんな社会の実現を目指す。そんな門川さんの背中を押すのは、留学先の大学で知った、ある言葉。「あるとき、トレーニングジムを使わせてくれないか、と窓口で相談したんです。断られるかと思っていたら、その人が、“Serendipity!”って。“素敵な偶然があって成功できるかも”みたいな意味です。“だから、なにができるか考えよう”と勇気づけてくれた。嬉しかったですね。それ以来、なにかあるたびにこの言葉を思い出します」。『すまいる』を立ち上げたとき。盲導犬を申し込んだとき。「行動すればなにかが起きるかもしれない。やってみよう」そう信じて、前向きに歩んできた。

「これから先、もっとみんなが住みやすい、ユニバーサルな世の中になるといいですね。僕が通うコンビニやファーストフード店では、店員さんが席に案内してくれたり、手のひらに値段を書いて教えたりしてくれる。世の中の人たちがみんな二重障がい者の存在を知ってくれたら、そういう対応をしてくれるお店も増えると思うんです」。だから、もっとみんなに知ってもらわないと、と言葉に力をこめる。どこまでも前向きに、明るく。ミライツクリビトは今日も元気に、街へ出る。

『すまいる』の利用者は、就労支援としての軽作業のほか、それぞれの特技を生かして作った手芸品などをバザーで販売したり、和太鼓やタップダンスなどのクラブ活動を楽しんだりしている。

本人の指に通訳者が「指点字」を打ち、こちらの言葉を伝える。その回答は、ほぼ発話と同じスピードで返ってくる。目の前にいる人が、目も耳も聞こえないとは思えない、不思議な感覚でインタビューは進んだ。

日本の全盲ろう者で唯一の盲導犬ユーザー。「ベイスが来てくれてから、活動範囲がものすごく広がりました。盲ろう者でも盲導犬が使えるようになるということをもっと知ってほしいですね」。



Profile


NPO法人視聴覚二重障害者福祉センターすまいる 理事長

門川紳一郎(かどかわしんいちろう)

1965年大阪府生まれ。生まれつきの弱視で、4歳の時に失聴。大学進学、アメリカ留学を経て、盲ろう者の就労支援と情報交換の場『すまいる』を設立。二重障がい者の支援と社会的な認知向上のために活動している。全盲ろう者としては日本で初めての盲導犬ユーザーでもある。


NPO法人視聴覚二重障害者福祉センターすまいる 1999年設立。『共にいきいきと活動をしよう!』をモットーとし、盲ろう者(視聴覚二重障がい者)の「就労といこいの場」「生きがいを見出す場」になることを目指している。デイサービスやレクリエーションの提供、さらには就労支援継続B型として、盲ろう者の就労支援も行う。


info@db-smile.jp

HP:http://db-smile.jp/index.html



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